第20回 ゲートウェイ戦略
インバウンド需要といえば、中国や東南アジアの訪日旅行客による「爆買い」というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、最近実はその傾向が少し変わってきています。
まず、2017年に入ってからの訪日旅行客の1位は中国ではなくなっています。
2017年上半期(1~6月)訪日旅行客が最も多かった国は、「韓国」です。実に4年ぶりに中国が首位を転落しました。韓国人旅行客を年代別で見ると、20代が全体の4割を占めています。また、今夏その影響を受け、日本発着の韓国LCCが大幅に拡充され、今後も韓国人の若者層が多く訪れることが予想されます。
また、エリア別にみると、関西への旅行客が大幅に増えている一方、関東への旅行客は減少傾向にあります。中でも、大阪への訪問が増えており、関西に有力店を持つ百貨店では、17年6月期の売上が前年同月比で7%程度増えているという結果も出ています。これにもやはり、関西国際空港へのLCCの乗り入れが増えているという背景が見られます。
インバウンドを考えるとき、ゲートウェイとなる空港および乗り入れする便数が大きな影響を受けていることは、これらのことからも明白です。
さらに、最近のインバウンドに見られる変化として、「盆栽体験」や「書道体験」など食や買い物に並んで、外国人旅行客に人気の日本ならではの体験ですが、これらは日本に来る前に予約してくるというケースが増えていることです。
民泊サイトのAirbnb(エアビーアンドビー)は、2016年11月に「トリップ」というサービスを始めました。トリップは、旅行客と現地で体験ツアーを提供している講師を繋ぎ合わせるサービスで、東京・大阪のエリアですでに登録講師も200人を超えて、集まっています。
旅行客が事前にホテルを予約するタイミングで、訪問先や体験教室の予約までさせることが狙いと考えられますが、これも、日本での滞在計画を立てる入口(ゲートウェイ)において、顧客を掴む先手を捉えたマーケティング戦略と捉えることができます。
インバウンドに限らず、消費者の心理や行動パターンを分析し、先手を打って入口をおさえることがビジネスチャンスを掴む上で重要なのかも知れませんね!
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